teresuwatebesu's blog

ときどき宇宙のことを考えるといいらしい

パレードへようこそ

パレードへようこそ、原題はPRIDE。

 

2014年に仕事の帰りに、閑散とした映画館で見て、思わず泣いてしまった映画。

そんなにたくさん劇場で映画を見てきたわけではないけど、こうして自分好みの映画にスクリーンで出会えたことは初めての体験だった。

 

見終わってから二年も経つのに、いままでネットにはいっさい書いてこなかった。

むしろ、多くの人に見てほしいっていう気持ちはあったけど。

映画のDVDなんて、よほど好きじゃないと買わないと思ってたけど、この作品は迷いなくアマゾンの購入ボタンを押した。

今回はどうしてもこの映画の素晴らしさを書き記してみたくなった。

一応写真とか撮って説明に添えようと思ったけど、自分の気に入ったシーンばかり撮りすぎて、これじゃあストーリーの展開が追えないw

 

まあ、これは自分の記憶にとどめるためのアウトプットみたいなもんだから。

というか、誰も見てないだろうから問題なかった。笑

 

この映画はとにかく学ぶことが多かった。

それでいてユーモラスで、まさに自分好みなんです。笑

 

ああ、文章が丁寧語になるのは職業病だ。うー

 

これは実話が基になった話。

あらすじは、1984年不況に喘ぐイギリス。世間的にまだ理解されずにいたレズビアン、ゲイ、バイセクシャルトランスジェンダーの人たちが集まって結成されたLGSMが、同じ弱者としてサッチャー政権に仕事を奪われていた炭鉱労働者を支援することから始まります。しかし、支援しようと片端から連絡を取るも、団体名を聞いただけで門前払いされてしまいます。

そんななか、ダメ元で電話をかけたウェールズの炭鉱組合からはOKの返事がもらえます。抱き合って喜んでいた一同でしたが、それは前途多難な出来事の始まりでもありました。

 

 

はじめて訪れた炭鉱労働者組合の施設会場で、はじめましてのスピーチをするマーク。

LGSMの中心的存在であり、普段は饒舌な彼も、冷たい視線のなか、必死に友好的になろうとチョイスした台詞がこちら。

f:id:teresuwatebesu:20160918221621j:image

当然、いい顔はされず、上々とは言えない滑り出しに。

 

いくら支援を断られなかったとはいえ、委員会のなかでも意見が割れており、そんな状況のなか、彼らはここに訪れたのでした。

 

ですが、最初から偏見を持たず、支援を有り難く受けた組合員のひとり、ダイとの友好は深まっていきます。
f:id:teresuwatebesu:20160918220920j:image

のどかなウェールズの風景も美しい。

f:id:teresuwatebesu:20160918221354j:image

 マークはスピーチではうまく話せなかったものの、人一倍真剣に物事を考え、差別や偏見に立ち向かう青年なのです。

 

 

 それでも世の中には、世間の噂に抗えない人種というのがいます。

「それは世間じゃない。あなたでしょう。」という太宰治の台詞が思い出されます。

f:id:teresuwatebesu:20160918221250j:image


f:id:teresuwatebesu:20160918221352j:image

 

だけど、この物語を見てると、こういう人たちを憎む気になれないところがすごい。

たしかに、一枚目の女性は、とんでもなく悪意のあることをしてしまうんだけど。

彼女の描かれ方に、彼女への理解を促すような演出がなされているように感じました。

 

 

 

このシーンは最高のひとこと。

「炭鉱夫は踊らない。」というのを聞いた役者でありゲイであるジョナサンが音楽に合わせてダンスを披露します。

f:id:teresuwatebesu:20160918221445j:image

スクリーンで見てて思わず笑みがこぼれ、おれもこんなふうにリズムがとれたら、おどれたら、、というのを未練がましく思っていた記憶があります。

また音楽もいい。

とにかく見てくれ。

 

 

 

そして、このシーン。

これは劇場で見たときおれも騙されかけた。

 

え、いまさらそんな偏見を?と

これからどんな展開になってしまうんだ、と。

 

ジョナサンの彼氏でもある(名前忘れちった。)が、母と喧嘩別れしてから16年も離れていた故郷、ウェールズに今回の件を機に足を運び、「どこの出身か?」と問われ、答えたあとの一部始終。

f:id:teresuwatebesu:20160918221559j:image

f:id:teresuwatebesu:20160918220158j:image

f:id:teresuwatebesu:20160918221738j:image

落ち込む左の人…。戸惑うジョナサン。

f:id:teresuwatebesu:20160918221749j:image

大爆笑する一同。

f:id:teresuwatebesu:20160918221757j:image

なんつーブラックジョークだ!!!!おもろすぎ!!!笑っていいのかこれは!!

 

 

 

そして物語の本筋である部分は流れ流れ、例の女性がとんでもをやらかしたあと、委員会の採決でその場にいながら、役に立てなかったことを悔やむおじいちゃん。(名前忘)

f:id:teresuwatebesu:20160918220921j:image

僕がこの作品を好きな明確にわかっている理由のひとつでもあるのがこれ。

この作品のなかには、人前で饒舌に話せるもの、臆することなく相手と言い合いのできるもの、そしてなにが間違っていてなにが正しいのか、漠然とわかっていながら、それを言葉にできないもの。

おれは完全に後者だから、このなにも言い返せず、自分の無力のせいで物事が決定してしまうシーンは、胸がえぐられるようだった。彼と同じように、思わず握りこぶしを固めていた。

 

そんな、主役には決してなれず、たいした役にも立てない人間のことにも、光を当ててくれている。

それはなにもあとから活躍するとか、どこかで役に立っていたとか、露骨な演出があるわけじゃない。それでも、そんな言葉をうまく使うことのできない人も同じ人間としてカウントしてくれている。そんなふうに撮影されている気がした。

 

作品のテーマはLGBTや労働者、そして政府、そういったものが中心にあるけど、それを取り巻いている人々のこと。それを取り巻いている人々に焦点をあてることこそ、大きな問題を浮き彫りにする近道なのかもしれない、とそんなことを思った。

 

 

 

このシーンで僕は泣きました。これはすごく個人的なことなので省略。笑

それにいまだに乳離れできてないので耳が痛い…笑
f:id:teresuwatebesu:20160918221642j:image

肩だけ見えている青年は、ジョーといって、家族にゲイであることを隠して活動していたことがバレて、両親にこっぴどく叱られ、拘留されていたとマークに弁解するも一喝される。

「痛みを伴わなけりゃ、前進も和解も、ありえない」

そんな隠れた台詞が聞こえてきました。

 


続けてジョナサンのボディーブロー…
f:id:teresuwatebesu:20160918221714j:image

おいらの口がへの字になってたと思います。

つらい

 

 

マークの言葉に覚悟を決めたジョー姉の結婚パーティーが行われているさなかに帰宅し、そのまま家出を宣言します。
f:id:teresuwatebesu:20160918220203j:image
f:id:teresuwatebesu:20160918220159j:image

f:id:teresuwatebesu:20160918221654j:image

「痛みを伴わなけりゃ、前進も和解も、ありえない」

 

 

16年間疎遠だった母に、再会を果たした彼のように

彼はたくましく成長して、その日を迎えることでしょう。

 

 

続け、おれ。

 

 

 

見返して思ったのは、ほんとこの作品は細部までよくこだわってるなあ、ということ。

 

それは奇跡的におこった偶然なのか、撮影中のミラクルなのかはわからないけど、

とにかくなにもかもが示唆的で、大切なことを気づかせてくれる。

 

そして、最後まであの例の女性は協力的になっていったみんなから孤立したまま、姿を現さないんだけど、そこがまた、いい。

わかりあえない人というのは、一定数いるということ。そして、無理に分かり合う必要もなく、彼らには彼らなりの、彼女には彼女なりの生き方で生きている。

 

そんなふうに思った。

敵がいない作品。

それは政府にしたってそう。たしかにストは描かれ、政府を批判しはするけど、なにか潔さがある。

説教くさくならない。重くない。

 

 

あーあらためて好きだわ、この作品。

 

 

 

ただ、いま調べてわかったんだけど、この監督は過去に、もう一本映画を撮ってたみたいで、そっちは酷評だったからおもしろい笑

 

脚本がよかったんかなー