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teresuwatebesu's blog

ときどき宇宙のことを考えるといいらしい

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僕は根に持ち続けているのだな、と
こうして書き出してみてようやくわかってきた。そう、おそらくあの日のことも。

僕はその年齢相応の、男を誇示できるものをなにひとつ持っていなかった。それは腕力であり喧嘩であり声であり容姿であり運動でありえた。

光るところのない冴えない生徒、とでも思われていたのだろう。そしてそれは事実であった。

そのせいか、どの教師も僕への扱いはどこか雑だった。

今思えば、あの頃から人に真面目に相手にされない傾向があった気がする。

それはお前の思い込みだ、というひとがあるかもしれない。
しかしそれは、赴任してきたばかりの女教師によって、まったくの被害妄想ではないことが証明された。

その女教師は男子生徒を男として見ている節があった。
その選定基準の目が向けられたのは、僕も例外ではなかった。

新しいクラスの生徒とのコミュニケーションを図ろうという狙いと、男を男と認めてやることで、男の自尊心をくすぐり、授業がしやすいように手懐けようとしたのだろう。

授業を予定通り進行させるために一番厄介なのは女子ではなく男子だ。
女子はいくら教師が気に入らなくても、授業は中断させるべきものではないということを知っている。
それに対して男子というものは馬鹿だ。それ以上の説明が要るだろうか?その歳の男の大半はそれで説明がつくだろう。

その猿たちを撫でて大人しくさえさせれば授業は荒れない。

そういったいきさつで授業初日。あの試みをしたのだろう。


女教師は教室に入ってくるなり、重たそうに抱えてきた資料をどさりと教卓の上に置いた。そして大きく息を吐いたあと簡単な自己紹介を始めた。名前をなんといったのかは覚えいない。それとも一刻も早く消したい記憶だったがために、都合よく忘れたのかもしれない。



省略



あの目が、あの目の奥の白けた淡い輝きが、僕という人間を説明するには十分過ぎる瞳だった。そうしていつでもその記憶と映像は、自虐するたびに蘇った。

若かったから、あのときは怒っていたとおもう。怒ってもいたし、恥ずかしくもあったし、悔しさもあった。変な味の気持ちがした。
僕は一刻も早く学校を抜け出したかった。というより、自分から抜け出したかった。
なぜ僕はこんな惨めな思いをすることが多いのだろうと。考えたことも祈ったこともなかった神を、天を、恨んだ。




げはは